米当局は16日、2016年米大統領選の時期に米政治家らとの秘密の連絡ルート構築を試みたとしてロシア国籍の女性を逮捕・訴追請求した。ロシアは米大統領選に干渉しなかったとのプーチン大統領の主張を、トランプ大統領が公の場で受け入れたほんの数時間後のことだった。
米検察当局によれば、逮捕されたのはマリア・ブティナ容疑者で、ロシア政府の指示で米国とロシアの当局者間に秘密の通信ルートを構築しようとしたほか、全米ライフル協会(NRA)への潜入を試みた。この長期オペレーションが開始されたのは、少なくとも2013年にさかのぼるという。ブティナ容疑者は外国の活動員として登録しなかった罪に問われている。同容疑者は16日、ワシントンの連邦地裁に出廷した。
ブティナ容疑者はロシア中央銀行のトルシン副総裁の特別補佐を務めた。トルシン氏はプーチン大統領の政党に所属する元上院議員で、ロシアのマフィア界とのつながりが疑われている。訴追請求状にトルシン氏の名前は記されていないが、役職から特定できる記述になっている。同氏は現在、米政府の制裁対象となっている。
ブティナ容疑者とトルシン氏は共にNRAの終身会員で、トルシン氏はNRAで築いた関係を利用し、再三にわたりトランプ一家とのつながりを強めようと試みた。一部報道によれば、米連邦捜査局(FBI)はNRAがトランプ陣営の活動強化の目的でロシア側から資金を受け取ったか否かについて捜査している。
NRAからはこれまでのところコメントを得られていない。
原題:Russian Accused of Infiltrating NRA on Mission From Kremlin (1)(抜粋)