• ライドシェアによる「交通混雑の緩和、世界中で証明」と将来性強調
  • 起こり得る産業の大変革で主導権握る-「AI制する者が未来制す」
Masayoshi Son, chairman and chief executive officer of SoftBank Group Corp., gestures during the Wall Street Journal CEO Council in Tokyo, Japan, on Tuesday, May 15, 2018.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は19日、都内の自社イベントで講演し、「人工知能(AI)を制するものが未来を制する」と強調。ソフトバンク・ビジョン・ファンドを通じた投資などで研究開発を加速し、起こり得る産業界の大変革で主導権を握る考えをあらためて示した。

孫氏は出資先企業が手掛けるライドシェアリング事業に関連し、「日本では法律で禁止されている。信じられない。国が未来の進化を止めている。未来を否定する」と政府を厳しく批判。AIにより「未来予測によって交通の混雑が減ることはアメリカや中国、世界中の国々で起きている」とし、同事業の将来性の高さを指摘した。

SBGはビジョン・ファンドなどを通じて米ウーバーや中国の滴滴出行をはじめとしたシェアリングエコノミー関連、AIを駆使した自動運転技術関連、保険会社など企業への投資を加速。2017年から運用を始めた同ファンドからの営業利益は18年1-3月期で666億円に拡大した。

孫氏の基調講演には、中国で配車アプリを手掛ける滴滴出行の柳青(ジーン・リウ)社長や米ゼネラル・モーターズ(GM)のダニエル・アマン社長らが登壇した。孫氏は革新的技術で業界トップに躍り出るようなスタートアップ企業への継続的な投資で、300年間成長し続ける組織体を構成する「群戦略」の実現を目指している。

GMのアマン氏は信号機が故障中でも安全に走行する実験動画などを披露しながら、「自動運転を大規模に展開することで世界を変える」と意欲を見せた。孫氏も自動運転車だけが走る街が誕生すれば街中でも信号機は不要になり、時速200キロで走ることも可能だとし、「AIはあらゆるものを進化させてくれる」と力説した。