-
3月会合時の声明になかった貿易巡る緊張との認識盛り込む
-
為替については通貨の競争的切り下げ回避との文言なし
アルゼンチンのブエノスアイレスでの20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は22日、主要国・地域の成長エンジンの同時性が失われつつある中、貿易を巡る緊張が世界の経済成長を脅かしているとの声明を発表して閉幕した。
声明は世界の成長が引き続き堅調で、多くの新興市場国が危機への備えを改善しているとした上で、世界経済へのリスクが増大しているとの認識を示した。主要なリスクとして「金融上の脆弱(ぜいじゃく)性の増大と貿易や地政学的な緊張の高まり、世界的な不均衡、不平等、構造的に弱い成長」を挙げた。新興国市場は市場のボラティリティーや資本流出などの脅威に直面していると指摘。3月に開かれたG20財務相・中銀総裁会議では、貿易を巡る緊張は声明に盛り込まれていなかった。
トランプ米大統領が20日、中国からの輸入品への追加関税措置の可能性に触れたことを受け、G20会合では貿易が主要議論となった。フランスのルメール経済・財務相は21日に記者団に対し、欧州連合(EU)は「銃を頭に突きつけられた状態で」通商問題を交渉することはないと述べ、理性的な対応を取り戻すよう米国に促した。
当局者によれば、為替については通貨の競争的切り下げを回避すると約束した3月会合でのコミットメントをあらためて確認した。トランプ大統領がEUと中国は自国・地域の為替相場を不正に操作してきたと非難し、強いドルと米金融当局による利上げが米国の競争力を損なっていると不満を示したことから、会議で通貨問題が活発に議論されるとの観測が急激に高まっていた。
ムニューシン米財務長官は21日、トランプ大統領が為替市場に介入しようとしたわけではなく、米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性についても完全に支持していると述べた。
原題:Trade Tensions Threaten Global Economic Growth, G-20 Cautions(抜粋)