[東京 25日 ロイター] – 米トランプ政権は24日、全米の農家に対し最大120億ドルの支援を行うと発表した。中国や欧州連合(EU)との貿易摩擦で生じる悪影響から農家を保護する。識者の見方は以下のとおり。
<マクレスキー・コットンのゼネラルマネージャー、ロン・リー氏>農産物信用公社を使って120億ドルを拠出する大恐慌時代のような政策だ。個人的には、トランプ政権が新たな貿易協定での合意を目指して長期戦の構えだという印象を受ける。メキシコとカナダはこのところ協議加速へ意欲をみせているが、中国との協議はおおむね行き詰まっている。私が知る農家のほとんどは、政府の支援を受けるより、良好な貿易を通じて市場から収入を得ることを好むだろうが、貿易協議がここ数カ月間、農家に金銭面で確実に痛手となっている中、今回の支援策はトランプ大統領と農務省が農業地帯の支持者層を支援しようとしていることを示している。
<全米豚肉生産者協議会(NPPC)の代表、ジム・ハイマール氏>トランプ米大統領は以前に米国の農家を支援すると語ったが、きょうの支援パッケージでこのコミットメントが示された。全米豚肉生産者は、前例のないほどの世界的な需要に対応すべく事業拡大を目指していたが、現在は輸出する豚肉の40%に報復関税を課されている。昨年の2大輸出先である中国とメキシコなど重要市場における米国産豚肉の輸入制限によって、米国の養豚農家は経済的苦境に陥った。われわれは大統領の即座の行動に感謝している。
<イリノイ大学の農業経済学者、スコット・アーウィン氏>今回発表された支援パッケージの中で、最大かつ議論を呼ぶ可能性の高い部分は、農家に支援金が直接支払われるプログラムだろう。報復関税への対応策として、これほどまで大規模な農家への直接補償は前例がない。支援額120億ドルの大半は主に中西部の農家に直接払いの形で送金される。