菅官房長官がきのう北海道で講演し、「携帯電話料金は4割程度下げる余地がある」と発言した。どうしてこの時期にいきなり携帯の料金値下げに長官が触れたのかよくわからないが、利用者としては大歓迎である。政府の主要閣僚の発言としては珍しく腑に落ちる内容。というか、こうした発言が出るのがあまりにも遅いというのが率直な感想だ。ただし、官房長官の発言は「4割程度下げる余地がある」と指摘しているだけで、いつまでにやると約束したわけではない。そこが多少気になるが、楽天の新規参入に続く大手通信3社の寡占つぶしに政府が本腰をいれて動き出すことを“大いに”期待したい。
ロイターが配信した記事は共同通信の記事をベースにしている。それによると、「菅義偉官房長官は同日行った札幌市での講演で、大手携帯電話会社は巨額の利益を上げているとしたうえで『競争が働いていないと言わざるを得ない』と指摘。『携帯電話料金は、今より4割程度下げる余地がある』と述べ、通信料金の改革に意欲を示した」とある。続けて「2018年3月期の営業利益をみると、ソフトバンクグループが前年比27.1%増の1兆3038億円、ドコモが同3.0%増の9732億円、KDDIが同5.5%増の9627億円と、3社とも国内トップ10に入る利益を稼いでいる。ドコモの親会社NTTも含めれば、トップ10のうち4社が通信会社という状況にある」と書いている。価格破壊者の孫正義氏はどこに行ってしまったのだろう。
ついでにこの記事をさらに引用する。「首相官邸が携帯電話料金に注文を付けたのは、今回で2回目。最初は2015年9月で、安倍晋三首相が経済財政諮問会議で通信料の引き下げに向けた方策を検討するよう指示したことで、(通信)3社の株は大きく売られた」とある。まるで3社を擁護するような記事だが、株主にとってはおそらく迷惑な話ということだろう。個人的にはそんなことはどうでもいい。携帯の高すぎる通信料金は日本経済を破壊する元凶だといいたいのだ。電電公社の民営化、競争原理の導入、デジタル社会を担う基幹サービ企業の育成といった国の戦略的な要請をいいことに3社はあの手、この手を使って通信料金の値下げを拒否してきた。AIやIoT、ビックデータ、society5.0などこれではIT社会は成り立たない。首相が指示してもやらない業界である。政府よしっかりせよ。