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自然失業率を下回っているが、過熱リスクは高まっていないー議長
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危機が再び脅威となった場合にはFOMCは「何でもやる」ー議長
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、景気拡大に向けたファンダメンタルズは力強く、利上げ継続の論拠を裏付けているとの認識を示した。
議長は24日、カンザスシティー連銀がワイオミング州ジャクソンホールで開いた年次シンポジウムで講演。事前に配布された原稿によると、「この力強い経済が継続するとみる十分な根拠がある」と指摘。「現在の漸進的な正常化プロセスは引き続き適切だと考える」と加えた。
パウエル議長は、連邦公開市場委員会(FOMC)が2つのリスクを抱えていると指摘。1つは動きが速過ぎて景気拡大の期間を短縮させるリスク、もう1つは動きが遅過ぎて景気を過熱させるリスクだと説明。
その上で、「漸進的な利上げという現在の軌道は、FOMCがそれら両方のリスクを重視するアプローチだと私は考えている」とし、失業率はFOMCが推計する自然失業率を下回っているものの、「過熱のリスクは高まっていないようだ」と加えた。
議長は「これは明るいニュースであり、それは現在進めている正常化プロセスによってももたらされている。この正常化プロセスは、政策スタンスを徐々に変えてきた」と説明。「直近のFOMC声明が示しているように、フェデラルファンド(FF)金利のさらなる漸進的な引き上げが適切となる可能性が高い」と述べた。
市場は、9月FOMC会合での0.25ポイントの追加利上げを織り込みつつある。実際に利上げとなった場合、FF金利誘導目標のレンジは2-2.25%となる。
またインフレに関してパウエル議長は、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が2012年7月にユーロ防衛のため発した表現を用い、FOMCのインフレに対する警戒を強調した。議長は「インフレ期待が非常に大きく上昇ないし低下するか、危機が再び脅威となった場合にはFOMCは『何でもやる』と私は確信している」と述べた。
原題:Powell Forges on With Gradual Fed Rate Hikes Amid Strong Growth(抜粋)