北朝鮮国内で拘束されていた日本人男性について、北朝鮮の国営メディアが26日夜、「国外に追放することにした」と伝えたことを受け、外務省は情報の確認を急ぐとともに、できるだけ速く、この男性と連絡を取って、安全を確保したい考えです。

北朝鮮国内で拘束されていた日本人男性について、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は26日夜、「観光客として訪問した日本人が、法律に違反する犯罪を犯したため、該当する機関に拘束されて取り調べを受けた」としたうえで、「人道主義の原則に基づいて国外に追放することにした」と伝えました。

外務省は、「犯罪」の具体的な内容や、実際に男性が出国する場合の時期や場所など、情報の確認を急ぐとともに、できるだけ速く、この男性と連絡を取って、安全を確保したい考えで、男性が無事に帰国できるよう中国などの関係国と調整を進めるものとみられます。

また、政府内には、男性の拘束が長引けば、北朝鮮側に、日朝間の交渉のカードとして使われかねないという懸念も出ていただけに、北朝鮮側の意図についても慎重に分析するものとみられます。

日本政府は、これまで、「事柄の性質上、答えることは控えたい」としてきましたが、政府関係者によりますと、今月に入って、男性が拘束されたという情報を把握し、北朝鮮に対し、水面下も含めさまざまなルートで早期の解放を求めていました。

”日本人は「杉本倫孝」氏”

朝鮮中央通信の日本語のサイトはこの日本人の名前を「杉本倫孝」「スギモト・トモユキ」氏だとしています。

日本政府の関係者などによりますと、北朝鮮は今月、西部の港湾都市ナンポ(南浦)で軍事施設を撮影していたとして日本人男性1人の身柄を拘束していて、拘束を解かれることになった日本人はこの男性とみられます。

北朝鮮は、男性を拘束した詳しい経緯やいつ国外に出国させるのかなどは明らかにしていません。