スウェーデンで9日、総選挙(一院制、定数349)の投票があり、地元メディアの出口調査によると、ロベーン首相の中道左派「社会民主労働党」が議席を減らしながらも第1党の座を守る見通しとなった。一方、反移民・難民を掲げる右派「スウェーデン民主党」は2014年の前回総選挙から大幅に議席を伸ばし、第2党の座をうかがう勢いだ。
投票は現地時間9日午後8時(日本時間10日午前3時)に締め切られた。公共放送SVTの出口調査によると、社会民主労働党が26・2%を獲得して約100年にわたり守ってきた第1党にとどまるが、31・0%だった前回総選挙の得票率から大きく後退する見通し。
スウェーデン民主党は19・2%で、前回12・9%からの躍進が確実だ。14年まで8年間政権を担った中道右派「穏健党」と第2党を争う。穏健党は17・8%だが、穏健党が民主党を上回る出口調査もある。
社会民主労働党を中心に議会で協力してきた中道左派勢力と、穏健党を中心とした野党の中道右派連合ともに、過半数には達しない見通し。都市周辺で頻発する凶悪犯罪を関連づけて移民や難民の受け入れ凍結を訴えてきた民主党は、政権入りに意欲を見せるが、いずれの政党も協力しない意向を示してきた。今後の連立協議は難航しそうだ。
「人道大国」を自任してきた人口1千万人のスウェーデンでは難民らを積極的に受け入れてきた。中東やアフリカの紛争地などから人の波が欧州に押し寄せた2015年も、ドイツと並んで積極的に迎え入れ、約16万3千人の難民申請を受け付けた。だが社会の動揺も大きく、政府は受け入れ制限へ方針転換。反移民の民主党が支持を伸ばすなかで、各党がより厳しいスタンスを打ち出さざるをえなくなっている。(ロンドン=下司佳代子)