米ニューヨーク市で住宅販売価格引き下げの動きが広がっている。買い手を待つのに疲れた住宅保有者が相次いで値下げしており、9月には1週間で800戸近くの物件で価格が下落した。この数は少なくとも過去12年で最多。

賃貸・販売物件を掲載する不動産ウェブサイト、ストリートイージーが21日発表したリポートによると、9日までの1週間にマンハッタン、ブルックリン、クイーンズの3地区で合計774戸の住宅が値下がりした。7日間での値下がり物件数としては、データでさかのぼれる2006年以降で最多となる。従来の週間での最多記録は、世界的なリセッション(景気後退)のさなかだった09年3月の713戸。

  ニューヨークでは例年レーバーデーの祝日(9月の第1月曜日)後に新たな物件が大量に出回る。そうした中で、以前から物件を掲載している売り手は期待値を調整しつつある。マンハッタンでは9日までの1週間に662戸が新たに掲載された。ストリートイージーのデータとしては、過去3番目に多い。

ストリートイージーのシニアエコノミスト、グラント・ロング氏は「売り手にとっては真剣に状況を見極めるべき時だ」と指摘。「売り手はこれまで提示価格の面で極めて野心的だった。それが今では、実際に需要が見込める価格に引き下げざるを得ない状況になっている」と説明した。

原題:NYC Home Sellers Cutting Prices Like It’s 2009 — And Then Some(抜粋)