去年、大西洋やカリブ海で例年より多くの大型ハリケーンが発生したのは、温暖化による海水温の上昇が要因だったとする分析結果をアメリカの研究グループがまとめました。今後も海水温が高まり深刻な被害が相次ぐことが予想されるとして警鐘を鳴らしています。

去年は大西洋やカリブ海で大型のハリケーンが例年の2倍にあたる6個発生し、アメリカ南部やカリブ海諸国に甚大な被害をもたらしました。プリンストン大学の村上裕之博士などのグループは、世界各地の海水温の変化が海水や大気の流れに与えた影響をコンピューターで分析した結果を、28日付けの科学雑誌サイエンスに発表しました。

それによりますと、去年、例年より多くの大型ハリケーンが発生したのは、大西洋の熱帯付近の海面水温が温暖化によって上昇したことが最も大きな要因だと分かったとしています。ハリケーンは南米ペルー沖の東太平洋で海面水温が低くなる「ラニーニャ現象」が起きたときに増えるとされていますが、去年はこの影響は少なかったということも説明しています。

研究グループは、温暖化によって今後も大型のハリケーンが増える傾向が続くと予想しています。村上博士は「今後も温暖化によって各地でハリケーンや台風の勢力が強くなり、被害も大きくなると予想される」と話し、警鐘を鳴らしています。