• 大統領は政治的に勝利しても、経済は変わらない可能性
  • USMCAは旧NAFTAと撤退したTPPの融合
Photographer: Norm Betts / Bloomberg

米国の忘れ去られた人々のために革命を起こす、というのがトランプ米大統領の経済公約の一つだった。北米自由貿易協定(NAFTA)に「大災害」のラベルを貼って当選したトランプ氏は、これを書き直してブランド名を変えたに過ぎず、革命には程遠い。

米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)と命名された新協定は、トランプ政権が離脱した環太平洋連携協定(TPP)の一部条項に合わせて既存のNAFTAを修正した「NAFTA2.0」と呼ぶに等しい。自動車メーカーを含め在米企業には規制負担が重くなり、中国などに対する北米諸国の競争力を後押しするより、むしろ損なうリスクがある。

シラキュース大学のメアリー・ラブリー経済学教授は、「トランプ政権はNAFTAの問題を『是正』するのではなく、『アメリカ要さい』のブロックを積み上げることになる」と解説。コスト上昇は、在米企業を北米全域からの生産撤退に追いやる可能性があると指摘した。

それでもトランプ大統領は政治的勝利を勝ち取ったとして、新たな協定を自賛する。米国が協定から離脱し、相互依存の高いサプライチェーンを一変させると危惧していた企業経営者らは、合意がまとまったことを歓迎するだろう。

経済のグローバル化に対し、トランプ氏と同じく批判を繰り返してきたダニー・ロドリック教授(ハーバード大学、経済学)は、「トランプ氏が気にするのは、自分に有利となるような合意を取り付けたとの印象を与えることであり、表面的なまやかしだ。貿易協定の実質的な変更ではない」と指摘。「これまで費やされた政治的リソースや交渉の苦労を正当化するものは、一切ない」と電子メールで解説した。

原題:Trump’s New Nafta Pact Looks More Rebranding Than Revolution(抜粋)