[ニューヨーク 2日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、イタリア連立政権の一角を担う「同盟」の有力議員がイタリアがユーロ圏を離脱すれば経済情勢は改善するとの認識を示したことを受け、ユーロが6週間ぶり安値を付けた。

「同盟」の議員で下院予算委員長のクラウディオ・ボルギ氏はラジオインタビューで、イタリアがユーロ圏を離脱すれば経済情勢が改善するとの認識を示し、「イタリアが自国通貨を持てば、大半の問題は解決すると本当に確信している」と述べた。同氏はその後ロイターの電話インタビューで、イタリア政府はユーロ圏を離脱する意向はないと表明し、金融市場の動揺を誘った先の発言は個人的な見解だと説明。コンテ首相も、イタリアはユーロに全面的にコミットしているとし、ユーロに関する批判的な発言は個人的な見解で政府の方針とは関係ないと述べるなど、火消しに努めた。

こうした中、ユーロ/ドルEUR=は1.1505ドルまで下落し、8月21日以来の安値を更新。終盤の取引では0.30%安の1.1541ドルとなっている。

この日のユーロ下落の大部分はボルギ氏の発言を受けたもの。ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の外為戦略部門グローバル責任者、ウィン・シン氏は、ユーロは1.15ドル近辺にテクニカルな支持線があるとし、この水準を下回れば1.13ドル近辺まで下落が進む可能性があるとしている。

米連邦準備理事会(FRB)は前週9月26日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定。年内はあと1回、2019年は3回、20年は1回の利上げを見込むとの見通しを示した。ドルは以来、対ユーロで上昇している。

シン氏は、「FRBは利上げを継続するに当たり米経済の状況に満足しているとの姿勢を示しており、FRBが(ドル相場の)けん引役となっている」と指摘。パウエルFRB議長はこの日に行った講演で、米経済見通しが「際立って良好」とし、低水準の失業率に伴う物価上昇に備え、段階的な利上げの継続が適切との見解を示している。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.25%上昇の95.531。一時は95.744と、8月21日以来の高水準を付けた。英ポンドは3週間ぶり安値に下落。メイ首相が示した欧州連合(EU)離脱方針を巡り対立が深まっていることが嫌気された。

ドル/円
NY午後3時 113.67/113.69
始値 113.75
高値 113.89
安値 113.54

ユーロ/ドル
NY午後3時 1.1543/1.1547
始値 1.1516
高値 1.1570
安値 1.1518