[ニューヨーク 5日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、ドルがやや軟化した。朝方発表された9月の米雇用統計で雇用者数の増加が予想を下回り、前年比の賃金の伸びもやや失速したことで、インフレが大きく押し上げられるとの観測が後退したことが背景。

9月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が13万4000人増となり、市場予想の18万5000人増を大幅に下回った。時間当たり平均賃金の伸びは前年比で2.8%と、9年超ぶりの大幅増となった前月の2.9%からやや鈍化した。

アメリプライズ・サービシズ(ミシガン州)のシニアエコノミスト、ラッセル・プライス氏は「賃金の伸びは上向いているが、市場の予想ほどではなかった」としている。

ただ市場関係者は、今回の雇用統計は米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの継続を支援するに十分なほど堅調だったと指摘。アムンディ・パイオニア・アセットマネジメント(ボストン)の外為戦略部門ディレクター、パレシュ・ウパジャヤ氏は「米経済が目に見えて減速しているということはない。今回の雇用統計はFRBが安定的な利上げ軌道にとどまることを確認するものだった」と述べた。

主要6通貨に対するドル指数.DXYは、雇用統計発表前は95.770近辺で推移していたが、発表後に一時95.516まで下落。その後は95.678に戻している。

堅調な米経済指標とFRB当局者のタカ派的な発言がこのところドルの支援要因となっているほか、今週に入り米国債利回りが大きく上昇していることもドルの押し上げ要因となっている。

オアンダ(トロント)の首席外為ストラテジスト、ディーン・ポップルウェル氏は「米国債利回り上昇が広範な通貨に対しドルの支援要因となっている」と指摘。ドル需要が堅調なため、市場参加者は3連休を控えドルをショートとすることに慎重になっていると述べた。

週明け8日はコロンバス・デーの祝日のため米債券市場は休場。ただ株式市場は取引される。

ドル/円
NY終値 113.70/113.74
始値 113.87
高値 114.06
安値 113.57

ユーロ/ドル
NY終値 1.1523/1.1525
始値 1.1497
高値 1.1549
安値 1.1485