【ワシントン時事】米上院は6日、連邦最高裁判事に、性的暴行を訴えられていた保守派のブレット・カバノー氏(53)を充てる人事を賛成50、反対48の賛成多数で承認した。カバノー氏は同日、宣誓式を経て就任した。妊娠中絶の是非など米社会の在り方を大きく左右する最高裁は、カバノー氏の就任で保守的傾向を強めるとみられている。
性的暴行疑惑で真っ向対立=最高裁判事候補と被害主張女性-米上院公聴会
採決で共和党は結束を示し、51人いる議員のうち、投票を棄権したマカウスキ議員ら2人以外は、賛成票を投じた。民主党からは、保守的地盤のウェストバージニア州選出のマンチン議員が賛成に回った。
トランプ大統領は6日、カンザス州の集会で「とてつもない勝利を成し遂げた」と支持者に報告。女性たちの性的暴行の訴えを念頭に「民主党による恥ずべき個人攻撃から、共和党議員は引き下がることを拒んだ」と同党の結束をたたえた。
上院の議場では、傍聴席に陣取った市民から「恥を知れ」との怒号が飛び、投票が再三にわたって滞った。最高裁前にもプラカードを持った女性らが集結し、カバノー氏の就任に反対した。
カバノー氏に対しては、大学教授のクリスティーン・フォードさんが上院司法委員会で30年以上前の性的被害を証言した。カバノー氏は否定し、トランプ氏の指示を受けた連邦捜査局(FBI)は急きょ調査を実施。共和党議員によれば、FBIの報告書には「暴行を裏付ける証拠はなかった」という。
共和党にとって、問題を長引かせれば1カ月後に迫った中間選挙に悪影響を及ぼすのは避けられない。また、選挙後に承認投票を先送りすれば、人事が否決されるリスクもあった。これに対し、民主党はFBIの調査を「不十分」と断じ、採決を急ぐ共和党への批判を強めていた。
終身制の9人の判事で構成する最高裁では7月末、中間派とされたアンソニー・ケネディ氏が引退。保守派とリベラル派が4人ずつの同数となる中、トランプ氏はカバノー氏を指名した。カバノー氏の就任は、今後長期にわたって最高裁が保守化する転換点となる可能性がある。
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