【ソウル時事】ポンペオ米国務長官は8日、ソウルで同行記者団に対し、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談で日本人拉致問題について提起したと明らかにした。また、2度目の米朝首脳会談の日程や場所には触れなかったが、「両首脳は次の会談で実質的な進展がなされると信じている」と語った。

 国務省が発表した。ポンペオ氏はトランプ米大統領と正恩氏とのシンガポールでの合意には米朝関係や北朝鮮と他国との関係改善などが含まれると指摘。そのためには拉致問題を含む多くの課題に取り組む必要があると説明し、正恩氏は「そのことを完全に理解している」と強調した。

また、北朝鮮が破壊したと主張する豊渓里核実験場の査察については、「金委員長は受け入れ用意があると言明した」と明らかにし、準備が整い次第、査察に入ると説明。訪朝に同行したビーガン北朝鮮担当特別代表の交渉相手は北朝鮮の崔善姫外務次官になるという見通しも示した。

一方、韓国の文在寅大統領は8日、閣議を主宰し、ポンペオ氏訪朝を受けて、「第2回米朝首脳会談が早期に開催される雰囲気や条件が整った」と述べた。その上で、朝鮮半島の非核化や平和へのプロセスで「大きな進展」を図るため、米国と緊密に協力していくよう指示した。大統領府が発言を発表した。

文氏はまた、「近く、金委員長のロシア訪問や、習近平中国国家主席の訪朝も実現する見通しだ」と語り、「日朝首脳会談の可能性も開かれている」と指摘。「朝鮮半島に新たな秩序がつくられている」という認識を示した。