24日、米ニューヨーク州にあるクリントン元国務長官宅前を警戒する警察官(EPA時事)

【ニューヨーク時事】オバマ前米大統領やクリントン元国務長官をはじめ、野党民主党の有力者らに24日までに相次いでパイプ爆弾とみられる不審物が送られた。不審物は同日、トランプ政権に批判的なCNNテレビのニューヨーク支局宛てにも届き、支局の入るマンハッタンの高層ビルにいた人が避難する騒ぎになった。不審物には類似性があり、捜査当局は同一犯とみて、調べている。ニューヨークのデブラシオ市長は「テロ行為」と非難した。

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 トランプ大統領は民主党やCNNなどのリベラル派主要メディアに対する攻勢を強め、米社会の二極化はさらに進んでいる。11月6日の中間選挙を前に、二極化する社会への対応が改めて問われそうだ。トランプ氏は事件を受け、「いかなる政治的暴力行為や脅しも米国にあってはならない」と述べ、結束も訴えた。

24日、米CNNテレビのニューヨーク支局宛てに届いた不審物(AFP時事)

不審物は雑なつくりで、けが人はなかった。オバマ氏宛ての不審物は自宅のある首都ワシントンで24日、大統領警護隊(シークレットサービス)が発見。ニューヨーク州のクリントン氏の自宅宛て不審物も23日夜の検査時に見つかった。

連邦捜査局(FBI)によると、不審物の「送り主」の名前はいずれもフロリダ州選出のシュルツ下院議員(民主)となっており、気泡緩衝材付きの封筒で送られるなどの特徴があった。CNNへの不審物は、宛名がオバマ政権下で中央情報局(CIA)長官を務めたジョン・ブレナン氏だった。オバマ政権の司法長官だったホルダー氏宛てにも不審物が送られたが、住所に誤りがあり、シュルツ氏の地元事務所へ「返送」された。

米メディアによれば、バイデン前副大統領やカルフォルニア州選出のウォーターズ下院議員(民主)にもオバマ氏ら宛てと特徴が似た不審物が送られたという。22日には民主党支持者の著名投資家ジョージ・ソロス氏宅の郵便受けでも不審物が見つかった。郵送ではなく何者かが直接届けたと報じられている。