【サンパウロ時事】ブラジルで28日、ミシェル・テメル氏の任期満了に伴う大統領選挙の決選投票が行われる。7日の第1回投票で有効票の46%を獲得した元軍人の極右ジャイル・ボルソナロ下院議員(63)と、29%の左派フェルナンド・アダジ元教育相(55)の戦いは、ボルソナロ氏が各世論調査で10~20ポイント差をつけており、優位は揺るがない。即日開票され、28日夜(日本時間29日午前中)に大勢が判明する見通し。
小政党を渡り歩いてきたボルソナロ氏は、インターネット交流サイト(SNS)を駆使する発信手法や社会的少数者を攻撃する差別的言動から、トランプ米大統領になぞらえられることも。治安改善策として刑法強化や銃規制緩和、軍の関与強化などを提唱。中央省庁の半減や国営企業売却による財政健全化と減税などを訴え、既成の政治経済に閉塞(へいそく)感を覚える中間・富裕層や経済界の支持を集めた。
ボルソナロ氏は選挙戦最終日、ツイッターで「汚職をする人々や犯罪者、その他ブラジルを破壊しようとする者は、私の政権下では安眠できない」と強調。自身への投票を呼び掛けた。
一方のアダジ氏は、4選挙連続で大統領選に勝利した労働党の候補。中・高等教育の充実や医療制度近代化、低所得者向け現金給付制度の堅持を訴えて従来の基盤である貧困層票を固めた。また、公共投資による景気刺激や労働者保護強化など左派的政策の継続を打ち出した。ただ、2015、16年のマイナス経済成長、労働党政権の汚職問題により支持は頭打ち。それでもアダジ氏は「潮目は変わった。ブラジルは彼(ボルソナロ氏)が代表する暴力や不遜に対して答えを出す。独裁者、拷問はもう二度とごめんだ」と極右政権への危機感をあおった。