日韓協力委員会に所属する塩崎恭久衆院議員らが5日、韓国の政党関係者らと懇談した。元徴用工への損害賠償を命じた10月30日の大法院(最高裁)判決を巡り、塩崎氏は「日韓関係の法的基盤を根本的に覆す」として、判決を事実上修正するための措置への協力を求めたが韓国側から肯定的な反応は得られなかった。判決を厳しく批判する日本の政治家の発言に、韓国では反発も広がっている。

韓国の専門家の間では、判決が1965年の日韓請求権協定を覆すとの意見も出ているが、韓国の与野党は国民感情を刺激する徴用工問題について、基本的に判決を支持する立場をとっている。

韓国の第1野党、自由韓国党によれば、塩崎氏らは5日午後、同党幹部らと会談した。塩崎氏は判決について「決して受け入れられない。国際法違反の事案について、是正を含めた必要な措置が必要ではないか」と迫った。塩崎氏は、韓国政府が判決後に「未来志向の関係」を強調したことを評価する一方、「今後、韓国政府の対応が日韓関係に大きな影響を与える」とし、韓国側の努力を促した。

しかし、自由韓国党の金秉準(キムビョンジュン)非常対策委員長は「我々がいつでも過去の問題で被害者だった点を日本は特に念頭に置いて欲しい」と指摘。「日本がいつも我々に被害を与えたという感情が非常に強い」とも述べ、韓国の国民感情の点から容易に日本側の指摘に同意できないとの考えを示した。
また、韓国の政党やメディアは、安倍晋三首相が徴用工について「朝鮮半島出身の労働者」と述べたり、河野太郎外相が判決を「国際社会への挑戦」と表現したりしたとして、強く反発している。

韓国野党、正しい未来党は公式ホームページの論評で、安倍首相の発言について「恥知らずの言葉と言わざるを得ない。いつまで妄言で強制徴用被害者たちの恨みから目を背け続けるのか」と批判。SBS放送は5日のニュースで、「河野外相が判決直後から、韓国政府に責任があるとの発言を続けている」と批判した。(ソウル=牧野愛博)