[ブリュッセル 6日 ロイター] – 欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は6日、イタリアの来年度予算案について合意が成立しない場合は、イタリアに制裁を科す可能性があると述べた。
イタリアのトリア経済・財務相は5日、予算案を変更する予定はないと改めて主張し、来年の赤字が計画通りに拡大しても、公的債務は増えないとの見方を示した。
欧州委のドムブロフスキス副委員長も6日、イタリアが13日までに予算案を修正しない場合、同国に科す可能性のある制裁手続きについて検討していると表明した。手続きは大規模な債務に関わるもので、同国にはまだ1週間残っていると指摘した。予算案の修正は「相当程度」行われる必要があるとけん制した。欧州委の慣例では、公的財政に関する最終データが明らかになる4月まで処分を待つことになっている。
しかし今回は、8日に明らかになる欧州委の経済予測を基に発動に踏み切る可能性がある。イタリア政府は2019年の国内総生産(GDP)成長率を1.5%と予想しているが、欧州委の予測はこれを大きく下回る見通しだ。GDP予測が下振れすれば、債務や赤字の対GDP比率は上昇する。
欧州委はまず、予防措置としてイタリアにGDPの0.2%を無利子で欧州安定メカニズム(ESM)に預け入れるよう求める可能性がある。同時に債務削減の期限を設定し、それまでに削減できなければ、GDPの0.2%の制裁金支払いや数十億ユーロ規模のEU補助金の凍結、欧州委および欧州中央銀行(ECB)による財政監視強化などを含むより厳しい制裁を発動する可能性がある。債務削減の期限は早ければ来年2月とされる可能性がある。
イタリアがそれでも協力を拒んだ場合、GDPの最大0.5%に当たる制裁金や欧州投資銀行による融資の削減、国債発行計画の監視など、一段と厳しい制裁を発動する可能性があるという。