韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は、経済政策を担う副首相兼企画財政相などを交代させる人事を決め、9日に発表した。経済対策の行き詰まりで支持率が下落傾向にあるなか、人事の刷新で世論の批判をかわす狙いとみられる。
韓国大統領府によると、金東兗(キムドンヨン)氏に代わる新たな副首相兼企画財政相には、経済官僚出身で、首相の補佐機関である国務調整室の洪楠基(ホンナムキ)室長(58)が内定。人事の理由を「経済分野全般の政策企画能力を有し、経済全般に活力を吹き込まなければならない状況で、司令塔を担う最高の責任者」と説明した。
若者の失業率が高止まりする韓国で、文氏は効果的な雇用対策を打てず、政権発足当初は70%台後半だった支持率は下落傾向にある。世論調査会社リアルメーターによると、直近の調査では54%まで下落した。
今回の人事について、野党は「失敗した政策を継続して強行しようとする宣戦布告だ」(自由韓国党)と批判。経済状況が好転せず、支持率下落に歯止めがかからなければ、歴史問題などで日本に対し、より強硬に迫る可能性もある。(ソウル=鈴木拓也)