【パリ時事】フランスのマクロン大統領とドイツのメルケル首相は10日、第1次世界大戦の休戦協定が締結された仏北部のコンピエーニュを訪れ、戦争終結を記念する式典に出席した。両氏は慰霊碑に献花した後、「欧州と平和へ寄与する仏独の和解の証し」と書かれた石碑を除幕し、かつて敵同士だった両国の結束をアピールした。
100年前の1918年11月11日、コンピエーニュの森に置かれた列車の車両内で休戦協定が署名された。ドイツにとっては第1次大戦敗北の屈辱的な地で、仏紙ルモンドによると、これまで独首相が休戦協定の場所を訪問したことはない。
84年9月22日、第1次大戦の激戦地である仏北東部ベルダンを訪れたミッテラン仏大統領と西ドイツのコール首相(ともに当時)は納骨堂で手をつなぎ、2度の大戦を戦った両国は悲惨な歴史を乗り越え、歴史的に和解した。マクロン氏の念頭にあるのはこのベルダンの和解だ。
欧州各国では現在、反欧州連合(EU)や移民排斥を掲げるポピュリスト政党が台頭し、欧州の分断が問題となっている。マクロン氏はコンピエーニュでメルケル氏との結束を強調し、EUの「絆」を復活したい思惑がある。ただ、メルケル氏は10月末、今期限りの首相退任を表明。仏政界は「EUのマクロン支援者が1人減る」とみており、欧州の不安定化に加えマクロン氏の孤立化も指摘される。