日本政府は21日、慰安婦問題をめぐる平成27年の日韓合意に基づき設立された「和解・癒やし財団」の解散を韓国政府が決定したことに反発を強めた。引き続き合意の着実な履行を求める方針だが、国際法や国家間の約束を無視するかのような対応が相次いでいる文在寅政権に対する不満は限界に達している。
「日韓合意に照らし問題であり、到底受け入れられない。合意の着実な実施は国際社会に対する責務だ」
河野太郎外相は21日、外務省で記者団にこう述べ、韓国政府の発表に不快感を示した。
財団に10億円を拠出した日本政府は、元慰安婦らを支援する財団の事業を合意の「根幹」と位置づけてきた。河野氏は10億円の扱いに関し「日本政府の意向に反した使い方がされないよう強く求めていく」と強調した。
韓国では今回の財団解散に加え、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像は今も撤去されていない。元徴用工と主張する韓国人への賠償を日本企業に命じた今年10月の韓国最高裁判決への対応も示していない。外務省幹部は「いずれも国際約束に反する。対応を迫られているのは韓国政府だ」と語った。
文氏は合意を破棄しないと表明しているが、財団解散は両国に深刻な亀裂をもたらしかねない。菅義偉官房長官は記者会見で「日韓関係は厳しい状況にある」と述べ、官邸関係者は「韓国は勝手にすればいい。日本はやるべきことをやる」と突き放した。