臨時職業あっせん所で職を探す「キャラバン」参加者=19日、メキシコ・ティフアナ(AFP時事)

【ティフアナ(メキシコ)時事】米国入りを目指してメキシコを北上してきた中米の移民希望集団「キャラバン」が対米国境ティフアナに到着し始めてから間もなく2週間。米国への難民申請手続きは少なくとも半年はかかると見込まれており、長期滞在を覚悟した一部参加者が地元での職探しを始めている。

メキシコ政府やバハカリフォルニア州は19日、12月16日までの期間限定で収容施設「ベニトフアレス」のそばに臨時職業あっせん所を開設。メキシコへの難民申請を条件に、キャラバン参加者に料理人や機械工、店員、清掃員、運転手など多様な仕事を紹介し始めた。
21日午後、相談の順番を待っていたホンジュラス出身のリカルド・マドリドさん(30)は「家族に仕送りをしなくてはいけない。いい職があれば、そのままメキシコにとどまることもあり得る」と語った。

故郷ではバイクタクシーの運転手だったが、1200レンピラ(約5500円)の週給から250レンピラを犯罪組織「マラス」にピンはねされては、妻と一人息子を養っていくことは困難。一人で国を後にしたマドリドさんは、警備員の仕事に心を引かれた様子だった。

州労働・社会保障局のルイス・エンリケス氏は「7000人分の職を用意できる。メキシコは中米諸国からの労働力を歓迎する」と強調する。4日目までは1日平均90人があっせん所を訪れ、既に内定を得た参加者もいるという。ベニトフアレスは既に飽和状態に近づいており、参加者らは自活手段の確保が急務。州などは今後、求職者はさらに増えると予測している。

ただ、支援に税金が投入されることや、地元住民の職を奪うことへの反感も少しずつ出始めている。地元タクシー運転手は「他に国境の町はたくさんあるのに、なぜティフアナなのか。われわれによそ者を助ける余裕はない」と吐き捨てるように言った。()