ロシア疑惑捜査を指揮するモラー特別検察官(左)とトランプ米大統領(AFP時事)

【ワシントン時事】トランプ米大統領がロシア疑惑に関するモラー特別検察官の質問に書面回答し、捜査の幕引きを急いでいる。ただ、回答にはロシアとの「共謀」と並んで捜査の焦点だった大統領就任後の司法妨害疑惑は含まれず、捜査が終結に向かうかは依然として不透明だ。

トランプ氏の弁護士ジュリアーニ氏は米メディア「アクシオス」に対し、モラー氏が司法妨害疑惑の捜査を断念したかどうかは「分からない」と語った。
コミー前連邦捜査局(FBI)長官解任などに関するトランプ氏の司法妨害疑惑の捜査は、トランプ氏側が抵抗してきた。米メディアによると、トランプ氏の事情聴取は今年1月下旬の日程がいったん決まったが、モラー氏側がコミー氏解任の経緯を含む質問項目を伝えると、トランプ氏の弁護士が態度を硬化させて取りやめとなった。

事実を軽視しがちなトランプ氏がモラー氏のわなに掛かり、偽証罪に問われることを懸念したためとされる。モラー氏はその後、事情聴取を拒否すればトランプ氏を法廷に召喚して証言を求める可能性を伝えたが、トランプ氏側は首を縦に振らなかった。

トランプ氏の書面回答を受け、焦点はモラー氏の次の対応に移る。トランプ氏の法廷での証人喚問を求めた場合、同氏がこれを拒むのは確実だ。トランプ氏は今月、司法長官代行に自らの息のかかったウィテカー氏を起用。ワシントン・ポスト紙によると、ウィテカー氏は、トランプ氏の証人喚問を認めない考えを関係者に示唆したとされ、幕引きに向けモラー氏への圧力を強める。

「喚問の是非が法廷闘争になればモラー氏は勝てない」(ジュリアーニ氏)と強気だが、対決路線を取ることで捜査終結がさらに遠のくジレンマも抱える。