[東京 21日 ロイター] – 東芝(6502.T)の車谷暢昭会長・最高経営責任者(CEO)は20日、ロイターのインタビューに応じ、これからはリアルの技術力を持っている企業が有利だとして、これをベースにプラットフォーマーを目指す考えを明らかにした。11月に発表した中期経営計画では、サイバー(仮想空間)技術とフィジカル(実社会)技術を融合させることで、収益拡大を目指す方針を掲げている。 

車谷CEOは「1980年代はリアルの力で日本の企業が強かった。ここ20年くらいはサイバーになってしまったが、ここに来てまた次の時代が来た」と指摘。「いまサイバーで強い人たちはリアルのことは何も分からない」として、これから注力する精密医療や都市化・自動化システムなどの世界で「プラットフォーマーになりたい」と意欲を示した。 

インターネットの時代になり「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字をとった略称)に代表されるプラットフォーマーの支配力が強まっているが、ここにきて規制当局の監視の目も厳しくなっている。車谷CEOはIT(情報技術)企業よりも、実際にモノづくりを行っている企業がサイバー技術を取り込んだ方が競争力があるとの見方を示し、「われわれはリアルサイドの技術力はものすごいある。今後、社会システムを作り上げる力のある会社のほうが有利だ」と強調した。 

財務基盤を強化するために外部の出資を仰いだメモリー事業については「いまのバランスでいいのではないか」と述べ、現時点では約4割出資を変更する考えがないことを明らかにした。 

志田義寧 山崎牧子