[北京 11日 ロイター] – 日産自動車(7201.T)は、カルロス・ゴーン前会長に関する社内調査の対象地域をインドなどにも拡大し、側近の上級幹部についても調べている。複数の関係筋が明らかにした。
2008年、インドの販売・アフターサービスなどの連携相手にフーバー・オートモーティブ・インディア(HAI)を選定したことについて、ゴーン氏の関与を調べている。日産社内関係者4人によると、現地の同社経営陣は調査の末、TVSという別企業を候補に選んだものの、ゴーン氏が土壇場で介入してHAIを推した。
HAIはディーラーへの車両販売実績に比較的乏しかったが、12年にインドで日産の販売を一手に引き受けるようになったという。同国の会社登記簿によれば、HAIは昨年9月11日時点で解散した。
関係筋の1人は、ブラジルでのゴーン氏の護衛サービスに対する支払いが過剰とみられる点も調査中と明かした。 また、サウジアラビアのアル・ダハナなど中東の一部販売バートナーについても精査しているという。
アル・ダハナは、サウジ実業家のKhaled Al-Juffali氏が過半数株主で、日産子会社の合弁会社「日産ガルフ」に50%を出資している。
ロイターは先に関係筋の話として、東京地検に再逮捕されたゴーン前会長に対する容疑は、私的な損失に絡み同氏に協力したとされるAl-Juffali氏への支払いに日産の資金を充てた疑いが中心となっていると伝えた。 ゴーン氏のために信用状を手配したAl-Juffali氏の会社がその後、日産の資金1470万ドルを4回に分けて受け取っていたとされる。
ゴーン氏の弁護士は、インドやブラジル取引への社内調査拡大についてコメントの求めに応じていない。ゴーン氏の米代理人はコメントを控えた。 また社内では、ゴーン氏側近でチーフ・パフォーマンス・オフィサー(CPO)のホセ・ムニョス氏(53)が米国で下した決定事項についても調査が行われている。
関係筋によれば、ディーラーのフランチャイズ権や、米事業を担当した際にムニョス氏が承認した部品供給・サービス提供業者との契約に絡む問題が浮上したもようだ。 関係筋2人は、ムニョス氏が調査に協力していないとし、うち1人は同氏を不正行為で問えるかは不透明とした。ムニョス氏は、コメントの求めに応じなかった。