韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題をめぐり、防衛省は21日夕、新たな証拠としてレーダー照射を受けた際に哨戒機内で記録した電波信号の音を公開した。最終見解も発表し、韓国との実務者協議を打ち切る方針を示した。韓国国防省は信号音を「実体の分からない機械音」とし、協議打ち切りに反発した。
公開された哨戒機が収集した電波信号の音は18秒間。哨戒機が記録したものは、一定時間連続して強度を保った音が鳴っており、日本側主張の火器管制レーダーの照射を受けた事実を裏付ける内容となっている。比較対象として併せて公開した一般的な捜索用レーダーの電波信号の音(約20秒)では途切れ途切れに音が鳴っており、防衛省は「照射されたレーダーは火器管制レーダー特有の性質を示している」と主張している。
最終見解は「協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断した」と指摘。韓国側の姿勢について「事実とは全く異なる主張を繰り返していると結論付けざるを得ない」と批判した。
韓国側が海自機について、「低空で脅威飛行した」と主張して謝罪を要求していることについては「客観的根拠に基づかない説得力を欠いたもの」と重ねて反論。韓国側が海自機からの無線の呼び掛けをほとんど聞き取れなかったと唱えていることに関しても「良好な通信環境で、通常では考えられない」と韓国側主張を否定した。
韓国側が事実関係を重ねて否定していることを踏まえ、日本政府は新たな証拠を示すことで、日本側の主張の正当性を国際社会に訴える狙いがある。菅義偉官房長官は21日午後の記者会見で「事実関係について、国民をはじめ対外的に丁寧に説明する必要がある」と語った。(2019/01/21-19:45)