トランプ米大統領が5日夜に行った一般教書演説中、ペロシ下院議長は一言も発することはなかったが、それでも民主党の反論を明快に示した。
トランプ大統領が「国家の現状は健全だ」という一般教書演説での伝統的な決まり文句を発すると、ペロシ氏はわずかに首を横に振って異議を表明。大統領の演説中、ペロシ氏は議員らの様子を静かに見守りつつ、手元の演説原稿にたびたび目をやり、一部発言には顔をしかめた。
トランプ氏が米国の「奇跡的な経済成長」を減速させられるのは「政治の駆け引きか、ばかげた党派的調査」だけだと述べた時は、ペロシ氏は信じられないといった顔で冷笑。またペロシ氏のツイッターの公式アカウントはほぼ同時に、議会には憲法上定められた監視責任があると指摘した。
ただ少なくとも2回、トランプ氏の発言に民主党議員らがあからさまな不満の声を上げた場面では、ペロシ氏は議員らに向けてわずかに手を上げ、落ち着くよう合図を送った。
トランプ氏とペロシ氏の対立は、ねじれ議会という新たな時代を明白に示している。民主党が下院の過半数を握ったことで、ペロシ氏は議長としての権力を行使してトランプ氏に対峙(たいじ)し、議会の権限を行使している。両者の関係は政府機関の一部閉鎖を巡る問題で特に顕著に示された。35日間に及んだ政府機関閉鎖が解除されたのは、トランプ氏の壁建設資金要求がペロシ氏の強い抵抗に遭い、トランプ氏が屈したためだ。
原題:Pelosi Gives Vivid Response to Trump With Gestures, Expression(抜粋)