[ワシントン 14日 ロイター] – 米商務省が14日発表した2018年12月の小売売上高は前月比1.2%減と、米経済が景気後退から抜け出し始めた2009年9月以来9年強ぶりの大幅な減少となった。18年末に経済が急減速したことを示唆した。市場予想は0.2%増だった。 

18年11月の数字は当初発表の0.2%増から0.1%増へ小幅に下方改定された。 12月の前年同月比は2.3%増だった。 

シティグループ(ニューヨーク)のエコノミスト、アンドリュー・ホレンホースト氏は、「今朝まで、米連邦準備理事会(FRB)当局者の追加利上げに対するためらいは、国内見通しが堅調な一方で、世界経済の成長率や金融市場から生まれるリスクに基づいていたが、小売売上高の減少が国内成長率に関する前提に疑問を投げかけている」と述べた。 

12月の小売売上高統計は、1月25日まで35日間続いた政府機関の一部閉鎖の影響で遅れて発表された。 

一部のアナリストは、政府機関の閉鎖がデータ収集作業に影響した可能性を指摘し、統計の信頼性を疑問視した。商務省は「処理とデータの質には目を光らせており、回答率も今回分は通常水準並みか上回っている」と説明した。 

2月15日に発表予定だった19年1月の小売売上高は、発表日がまだ決まっていない。 

12月は、自動車やガソリン、建材、食品サービスを除いたコア指数が1.7%減。前月の数字は当初発表の0.9%増から1.0%増へ上方改定された。コア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も近いとされる。 

12月にコア売上高が大幅に減少したことは、個人消費が第4・四半期に減速したことを示唆する。個人消費は米経済の3分の2以上を占める。18年第3・四半期は年率で3.5%増だった。 

JPモルガンのエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は、退職後の貯蓄計画について言及し、消費者が401k(確定拠出年金)の失敗を受けて年末休暇中の消費を削減したとの見方を示した。 

さえない小売売上高統計を受け、エコノミストらは第4・四半期のGDP予想を最低で2.0%に引き下げた。前期は3.4%増だった。 

昨年11月の自動車を除く小売在庫が1%減と、08年12月以来の落ち込みを記録し、成長予想がさらに引き下げられる可能性がある。 

12月の前月比の内訳は、オンライン小売が3.9%減と、08年11月以来の大幅な落ち込みとなった。前月は2.8%増だった。ガソリンスタンドは5.1%減と、16年2月以来の大幅なマイナスを記録した。ガソリンの値下がりを反映した。衣料や家具も落ち込んだ。外食は0.7%減。運動・娯楽は4.9%減と、08年9月以来の大幅な減少となった。 

一方、自動車は1.0%増。前月は0.7%増だった。建材は0.3%増加した。 

米労働省がこの日発表した1月の卸売物価指数(PPI)は、前月比0.1%下落した。下落は2カ月連続。物価上昇が抑制され、内需が鈍化し、連邦準備理事会(FRB)が利上げに「忍耐強い」姿勢を示す根拠になるとみられる。 

これら指標を受け、BMOキャピタル・マーケッツのエコノミストは「FRBは当面、『忍耐強い』という言葉を用いるだろう」と話した。 

統計を受けて、米国債価格が上昇し、ドルは対通貨バスケットで取引時間中の安値を付けた。株式相場は軟調に推移したが、米中通商協議に対する楽観的な見方により下げは限定された。