久しぶりに小池都知事に関するニュースを読んだ。各紙に掲載されているが、毎日新聞が詳しくフォローしている。それによると築地跡地の利用をめぐって知事と議会が対立、施政方針演説が21日未明にずれ込む異例の事態となったとある。対立の原因は築地の跡地問題。知事は都議選の際に跡地は「食のテーマパーク」にするとの構想を示していた。にもかかわらず2月議会を前に、何の説明もないまま国際会議場や展示場を軸に整備する方針を公表。これに野党が噛み付いたと言うのがことの経緯。都議会与党の都民ファーストは過半数を握っておりず、小池知事は公明の協力を得て与党を形成している。どうやら連立相手の意向に配慮しているようだ。

3年前、人気を独り占めしていた小池知事だが、前回の衆院選挙で立ち上げた希望の党が予想外の惨敗を喫したあたりからとんと知事の動静は報道されなくなった。ポピュリスト政治家が「排除の論理」の一言で影響力を完全に失ってしまったのである。瞬間的に人気を独り占めしたものの、その人気が失墜するのも速かった。そんな中での久しぶりのニュースへの登場である。毎日新聞の記事を読む限り、どこにでもありそうな政治的な対立である。議会で単独過半数を得ていない以上、連立相手に配慮した政策を提示するのは普通のこと。問題はおそらく事前の根回しや調整が不十分だったということのようだ。人気をバックにしてきた小池氏らしいといえばいえる。事前の根回しや調整は殊の外苦手なのだろう。

小池氏が立ち上げた希望の党は、政治的には中道路線を歩もうとした政党だ。政党を保守、中道、左派に分ければ分かりやすい。安倍自民党は保守であり、中道には公明党、維新の会、希望の党、自由党、国民民主党がいる。これらを中道右派とすれば、同左派は立憲民主党、社民党、共産党という構図だ。問題は中道勢力が細かく分裂していることだ。希望の党は自民党を排除して、右派を中心に中道勢力の大同団結を狙った。だが自民党は保守の右派から国民民主党あたりの中道右派までカバーしている。細野豪士議員が自民党の二階派に参加して話題になっているが、政党の色分けからみれば取り立てておかしいことでもない。立憲民主党が誕生して中道左派の立脚点は明確になった。問題は中道右派に“錦の御旗”がないことだ。小池氏のニュースをみて、小池氏を除いた日本の政治状況が気になった。