- 中国は米国産大豆やトウモロコシ、小麦の輸入拡大も-関係者
- 輸入拡大計画は現在協議中の覚書に盛り込まれる可能性
米中通商当局者が合意を目指して交渉中の貿易協定の一環として、中国は大豆やトウモロコシ、小麦を含む米国からの農産品輸入を年間300億ドル(約3兆3200億円)増やす計画を提案する。同計画に詳しい複数の関係者が明らかにした。
計画内容が部外秘だとしてこれら関係者が匿名を条件に述べたところでは、農産品の輸入拡大計画は両国がワシントンで検討中の覚書に盛り込まれる見通し。農産品輸入は貿易戦争前の水準に積み増しされ、覚書が定める期間中続くことになるという。
パーデュー農務長官は21日のワシントンでの農務省年次会合で記者団に、中国が通商合意の一環として農産品輸入をどの程度増やすかなどについてコメントするのは「時期尚早」だと発言。「期待を強めたくない」とした上で、「構造改革でわれわれが合意に至ったなら、市場を極めて迅速に回復させられるだろう」と語った。
関係者は交渉の一環として、当局者がトウモロコシ由来のエタノール製造の副産物で飼料に使われる穀物かす(DDGS)に中国が課す反ダンピング、反補助金関税の撤廃についても議論する計画だと、先に述べていた。シカゴ市場の大豆とトウモロコシ、小麦の先物価格は報道を受けて上昇した。
INTL・FCストーンの商品担当チーフエコノミスト、アーラン・サダーマン氏はリポートで、「中国は同意を得るために必要なことを言うだろうが、重要なのは検証と履行になるだろう」と指摘。「このような合意がまとまったとしても極めて大量な輸入枠が定められない限り、大豆のバランスシートは改善しないと依然みているが、そうした輸入枠の設定は難しいだろう。ただ、トウモロコシのバランスシートについては、トウモロコシとエタノール、DDGSをそれほど多く輸入しなくてもかなり改善する見込みだ」と説明した。
中国はこれまで、米国の対中貿易赤字を縮小するため幾度も農産品とエネルギー製品の輸入拡大を提案してきた。昨年12月に貿易戦争の「休戦」が決まって以来、中国は大豆など一部農産品の輸入を再開しており、トランプ大統領は今週、中国が次に大幅に輸入拡大するのはトウモロコシだと述べていた。
関係者の1人によれば、交渉担当者が現在議論している覚書の分野は農産物のほか、非関税貿易障壁とサービス、技術移転、知的財産権。公約履行のメカニズムは依然不透明だが、合意した条件に反した場合は関税賦課を再開するという警告になりそうだという。
21日の遅い時間に中国商務省にファクスでコメントを求めたが返答はなかった。中国商務省の高峰報道官は先の記者説明会で、米国と議論されているという覚書に関する詳細は把握していないと述べていた。また、現在の通商協議が終わるまでは交渉の結果に関して情報を提供できないとも語った。
原題:China to Propose $30 Billion More U.S. Agriculture Purchases (2)(抜粋)