- メイ首相は延期を重ねて否定、「問題への対処にならない」と主張
- 英首相はEU大統領、欧州委員長、独首相と離脱問題で相次ぎ会談
欧州連合(EU)のトゥスク大統領は25日、EUからの英国の離脱期限延期についてメイ英首相と協議したことを明らかにした。
同大統領はエジプトのシャルムエルシェイクでのEU・アラブ連盟首脳会議に合わせた記者会見で「延期の可能性を巡り、法的・手続き上の問題を含めさまざまな点についてメイ首相と24日に話し合った」と述べた。「私から見ると、英下院で合意案承認に必要な過半数の票がないのは完全に明白だ。われわれは合意なき離脱か延期かの選択肢に直面する。3月29日が近づくにつれて、延期の可能性は高まる」と語った。
大統領は「これは客観的事実であり、われわれの意図や計画ではないが、現在の状況では、延期は合理的な解決策になると私は考える」と付け加えた。
一方、メイ首相は、延期は離脱の実現に役立たないと反論した上で、合意を確保した上で3月29日に離脱する可能性は「手の届く範囲にある」と言明。シャルムエルシェイクでの記者会見で「リスボン条約50条の延長、プロセスの延期が英議会の決定を引き出すことはなく、合意にはつながらない。延長は問題への対処にならない」と述べた。
また、メイ首相はこれに先立ち、同地でユンケル欧州委員長と会談。欧州委員会のアンドレーエワ報道官によると、首相と委員長は双方が先に合意した離脱協定案への変更について、EU首脳会議が開かれる3月21日までに合意する必要があるとの認識で一致した。
EU当局者によれば、会談は建設的なものだった。合意に向けてこれまでに進展があったと当局者は付け加えた。
メイ首相はさらにこれより前には、ドイツのメルケル首相と朝食を共にした。事情に詳しい関係者によると、約45分間の会食の間にメルケル首相は英国が離脱の2カ月延期を検討しているとの英メディア報道について質問。メイ首相は延期を望まず、予定通り3月29日の離脱に合意が間に合うよう切望していると答えたという。メイ首相は、延期は問題を解決せず決定を先送りするだけだと考えていると英当局者が述べた。
メイ首相は離脱合意案の議会採決の期限を3月12日に先送りした。EU側は、合意案への議会承認が得られず英国が離脱延期を希望する場合、2021年までの延期を条件とすることを検討しているとされる。英議員らは27日に、離脱延期に関する採決を行う。
原題:May Said to Tell Merkel She Doesn’t Want a Delay: Brexit Update(抜粋)