[ワシントン 27日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は27日、下院金融委員会で行った証言で、FRBが年内にバランスシートの縮小を停止すると述べた。
FRBは1月の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定すると同時に、利上げに忍耐強くある姿勢を表明。投資家の間では、こうした利上げ休止姿勢とバランスシートの縮小継続は効果を相殺し合っているとの見方が出ている。
パウエル議長は証言で「バランスシート正常化終了までの道を照らす計画の枠組みは策定されたと考えおり、近く発表できると期待している」とし、「縮小の年内停止」に向け動いていると述べた。
その上で、年内に縮小を停止することでFRBのバランスシートは国内総生産(GDP)の約16─17%に相当する規模になるとの見通しを示した。約10年前の金融危機前は約6%の水準にあった。
米国のGDPの規模は現在約20兆ドル。これに基づくと、FRBのバランスシート規模は3兆2000億─3兆4000億ドルになると試算される。
パウエル議長のこの日の発言は、FRBのバランスシート縮小についてこれまでで最も詳細に踏み込んだもの。
FRBは2017年10月、金融危機後の対策で膨れ上がったバランスシートの縮小に着手した。数カ月前までは縮小は今後数年間継続するとの見方を示していたが、昨年11月以降に新たなアプローチを提示。FRB当局者は現在、短期金利の適切な制御には大規模なバランスシートが必要と考えているとみられている。ただFRBが保有する国債の償還期限の調整を行うのか、モーゲージ担保証券(MBS)をどのように手放していくのかなど、まだ明らかになっていないことは多い。
パウエル議長は、FRBが今後多くの決定を行う必要があると表明。「市場はこの件について敏感になっている」とし、「極めて慎重に」対応していくと述べた。
パウエル議長は2時間にわたった証言の終わり近くになって、バランスシートについて発言。この日の証言内容の大部分は前日に上院銀行委員会で行った証言とほぼ同じだった。前日の証言では、FRBがさらなる利上げについて「判断を急がず」、引き続き「忍耐強く」政策運営に当たるとの姿勢を示している。
この日の証言でも前日と同様に、政策枠組みの再検討に関して質問され、パウエル議長は、FRBがインフレ目標達成に向けたアプローチを調整しようとしているに過ぎないとし、「インフレ目標を引き上げることは検討していない」と述べた。
このほか、議会が連邦債務上限の引き上げに失敗した場合について改めて警告。米国が債務不履行に陥れば「望まざる結果」に直面することになると述べた。
FRB議長には議会で半期に一度証言を行うことが法律で義務付けられている。