- インドを一般特恵関税制度の対象から除外へ、6400億円相当に影響
- 総選挙控えるインド、反政府勢力が勢いづく可能性も
トランプ米大統領はインドに貿易問題で圧力をかけようとしている。インド政府に対する威嚇の可能性もあるが、タイミングが悪く、広範囲にわたる政治的な悪影響を招く恐れがある。
トランプ政権は4日、インドを途上国向けの一般特恵関税制度(GSP)の対象から外す意向を米議会に伝えた。インドはGSPで最も大きな恩恵を受けており、対象外となれば総額57億ドル(約6400億円)相当の品目に影響が及ぶ。
影響を受けるのはインドからの輸入品の一部にすぎないが、インドは数週間後に総選挙を控える。パキスタンとの衝突を経て外交手腕と軍事力を選挙の売りにするモディ首相に冷や水を浴びせる形となり、米印関係が不安定化する可能性が高い。
英キングス・カレッジ・ロンドンのハーシュ・パント教授(国際関係学)は、モディ首相が関係悪化を望まないとしても「インド国内の議論はこれまで、米国は中国への対抗上、インドを必要としているというものだった。それなのに米国はなぜ、インドにこのような仕打ちをするのかという疑問が浮上するだろう」と述べた。
トランプ政権はインドに加え、トルコもGSPの対象から外す意向を表明した。こうした動きにより眠っていたインド国内の反米感情を呼び起こし、総選挙で反政府勢力を勢いづかせる公算が大きいと、パント教授は指摘した。
原題:Trump Attacks India on Trade as U.S. Seeks Its Help on China(抜粋)