- 米朝会談が不発に終わったトランプ氏、再選に向け成果を模索
- トランプ氏は対中合意がなく株価を押し下げる展開を懸念-関係者
トランプ米大統領は中国との貿易交渉の担当者に対し、速やかに合意をまとめるよう圧力をかけている。大統領は合意のない状態が株価を押し下げかねないことに懸念を強めており、合意成立で株価の上昇を促したい考えだと、事情を知る関係者が述べた。
内部の議論であることから匿名を条件に語った関係者によると、トランプ氏は対中貿易交渉が進むにつれ、合意に向け進展の兆しが表れるたびに株式相場が上昇することに気づいた。3月1日を期限としていた中国製品への関税引き上げを延期した決定で米国とアジアの株が上昇した時にも、動きを注視していたと、関係者の1人は語った。
米中は最終合意に近づきつつある。合意成立なら1年近くにわたった貿易戦争に終止符が打たれる可能性があり、来年の大統領選で再選を狙うトランプ氏への追い風にもなる。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談が物別れに終わっただけに、トランプ氏が切望する成果をもたらすことになる。
米国の貿易交渉担当チームと4日に会合を持ったトランプ氏は、中国の習近平国家主席を月内にも招き、合意の署名式を行うことに関心を表明した。
ただ、こうした前のめりな姿勢は中国に大きな譲歩を強いることなく合意を結ぶ可能性をはらむ。
中国の楼継偉元財政相は6日に北京で、「米国の要求の多くは中国がすでに改革を計画している内容であり、中国側の譲歩は恐らくそれほど大きなものにならないだろう」と発言。米国の要求の一部は「理不尽」だとも語った。
トランプ氏は経済政策に対する評価の指標として株価の動きに執着している。ホワイトハウス幹部らは同氏が株価について頻繁に尋ねるため、大統領執務室に呼び出された際には相場の動きを事前に見ておくようにしている。政権内で対中交渉の合意をまとめたい勢力は、大統領のこの執着に付け込んでいると関係者の1人は語った。
ホワイトハウスの広報担当スタッフはコメントを控えた。
原題:Trump Is Said to Push for China Deal With Market Gains in Mind(抜粋)