• ECB景気刺激にシフト、米金利軌道の下方修正をとFRB理事
  • トランプ大統領の計算、CLO新規制、MMTで論争

「強過ぎるドルは望んでいない」。週末にトランプ米大統領が投げたけんせい球にもかかわらず、ドル指数は7営業日連続で上昇しています。欧州中央銀行(ECB)は経済予測を大幅に下方修正し、政策金利を据え置く期間を延長しました。正常化は一段と遠くなり、米国との差はさらに鮮明になります。トランプ氏からさらなる圧力を受けかねない状況で、米連邦公開市場委員会(FOMC)は次回会合での決定を20日に発表します。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

景気刺激へ方向転換

欧州中央銀行(ECB)は今年の経済成長見通しを1.1%と、昨年12月時点の予想から0.6ポイント引き下げ、量的緩和(QE)プログラム導入以降で最も大幅な経済予測の下方修正を発表した。市中銀行向けには、条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)の再開も打ち出した。この意図はECBによる既存の景気支援を拡大することにあると、ドラギ総裁は説明した。

下方に軌道修正を

米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は、米国内外で景気見通しが弱まりつつあることから、米金融当局が以前に想定していたよりも「緩やかな」金利軌道が求められると述べた。同理事は2018年の初めに始まったバランスシートの縮小について、「バランスシートの正常化はかなり進んだ」とし、年内に停止するべきだとも話した。

大統領の計算

中国と通商合意を成立させれば株式市場が歓迎すると、トランプ米大統領は当て込んでいるが、容易ではなさそうだ。詳細を伴わない見解一致にとどまるか、具体性に乏しいものになると考えられている。トランプ氏のジレンマは、自分で期待値を上げてしまっていることだ。モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのマイケル・クシュマ氏は、トランプ氏が習近平国家主席との交渉の席を立つのであれば、マーケットは「極めてネガティブ」に受け止めるという。

来週にも公表へ

ローン担保証券(CLO)など証券化商品を金融機関が保有する際の新規制について、金融庁は適用除外とする条件として、買い手自身が資産のサンプル調査を実施するなど「深度ある分析」を求める見通しだ。新規制は銀行や大手証券などが証券化商品を購入する場合、当初債権者が5%以上を保有するなど所定の条件を満たしていると確認できなければ、「リスクウエート」を通常の3倍に引き上げる内容。

MMT論争

かつてパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)でチーフエコノミストを務めたポール・マカリー氏は、最近話題の「現代金融理論(MMT)」にやや同情的で、「不換紙幣の世界ではしっかりと確立された構造だ」と述べた。一方、ブラックロックのラリー・フィンク氏は、MMTは「くず」だと一蹴。FRBのパウエル議長は先週、MMTを「誤り」だと指摘。サマーズ元財務長官やノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏も批判している。

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