政情不安が続く南米のベネズエラでは、大規模な停電で病院などに深刻な被害が出ています。こうした事態を受けて、暫定大統領への就任を宣言し、アメリカの支援を受けるグアイド国会議長は、国家緊急警報を発令し、軍の関係者らに復旧に向けた協力を求めました。

南米のベネズエラでは、反米を掲げ、中国やロシアの支持を受けるマドゥーロ大統領と、暫定大統領への就任を宣言し、アメリカの支援を受けるグアイド国会議長が対立し、国際社会を巻き込んで混乱が広がっています。

ベネズエラでは、7日に発生した大規模停電の復旧が遅れ、野党が多数を占める議会によりますと、これまでに人工透析を受けられなくなった患者など約250人が死亡しました。こうした事態を受けて、グアイド国会議長は11日、議会を収集し、国家緊急警報を発令しました。

国家緊急警報では、停電の復旧や人道支援物資の受け入れに協力するよう軍の関係者に強く求めているほか、ガソリンの供給が不足していることを理由に、カリブ海のキューバへの原油の供給を停止するよう訴えています。

グアイド国会議長としては、大規模停電で国民に不満がたまっていることを受けて、マドゥーロ大統領を支持する軍に協力を呼びかけて切り崩しを図るとともに、マドゥーロ大統領を支持するキューバをけん制するねらいもあるとみられます。

一方のマドゥーロ大統領は、停電は反政府側による破壊工作が原因だと主張しています。