トランプ大統領はベネズエラに残留している米国人の全てに対し、即刻帰国するよう命令を発した。今週末にも全員が帰国するようだ。そのあと何が起こるか。メディアは軍事力を使ったマドゥロ政権の排除を示唆している。あり得ることだ。だが、ベネズエラ軍はマドゥロ大統領を支持している。徹底的に抵抗するだろう。合わせて中国とロシアがこの独裁政権を支えている。トランプ大統領といえども、軍事力を使ってマドゥロ大統領を排除することは簡単ではない。世界を混乱に巻き込むことになる。これから何が起こるのか、情勢は混沌としている。

そうした中でベネズエラ国民は生死の境を彷徨っている。ニューズウィーク日本語版によると、「ベネズエラでは3月7日以降、全国規模の停電が続いており、主要都市の交通運輸は麻痺し、水の供給は途絶え、冷蔵庫の貴重な食料は腐敗するなど、もともとの生活困窮に拍車をかける大混乱に陥っている。マドゥロは、大規模停電はアメリカが発電用ダムに攻撃を仕掛けたせいだと非難した」と伝えている。電気もなければ水もない、食料は不足している。アメリカを筆頭に諸外国が支援物資を送ろうとしているが、マドゥロ政権が国境を閉鎖して受け入れを拒否している。国民は生死の境を彷徨っている。どうしてこんな独裁者をロシアと中国が支援するのだろうか。個人的には理解できない。

だが、ニューズウィークによると事情は逆だ。「マドゥロはベネズエラでは人気がない。だが専門家によれば、グアイドの勝利がアメリカ政府によって導かれ、コントロールされたものだという見方が広まることは警戒すべきだ。南米にはアメリカからの干渉を受けた長く苦い歴史があり、南米の人々はアメリカの指導者たちの約束をまったく信頼していない。マドゥロも、自分に対する抗議運動を帝国主義者によるクーデターの試みだと信じさせたがっている」。人気のないマドォロが大統領として君臨できるのは、過去に行ったアメリカの政策に原因がある。アルカイダやイスラミック・ステイトを作り出したのがアメリカであるように、独裁者マドゥロを作り出したのもアメリカかもしれない。