- 今年の雇用創出規模は1300万人に-銀行の預金準備率など利用へ
- 対米通商協議に良い結果希望、スパイ行為疑惑には反論-李首相
中国は現在行っている的を絞った景気刺激の戦略を堅持し、量的緩和(QE)や公共投資の大幅な拡大などの大規模な措置を講じようという誘惑に抵抗すると、 李克強首相が15日、北京で開催していた全国人民代表大会(全人代=国会)の閉幕に際し、記者会見で表明した。
首相は、経済への「下押し圧力に対応して強い措置を取る必要が確かにある」とした上で、「無差別なアプローチは短期的にはうまくいくかもしれないが、将来の問題につながる可能性がある。従って、これは実行可能な選択肢ではない。われわれの選択は市場参加者を活性化することだ」と語った。
景気対策として全人代では主に減税など「的を絞った」措置が議論された。景気減速の深刻化に伴い失業率が上昇しており、この状況に合わせた刺激策を求める圧力が高まっている。
李首相は成長減速を受けて大量の失業者が出るのを防ぐことを政策の新たな焦点とする方針をあらためて強調。「雇用第一」戦略では、雇用が財政および金融政策と同じレベルの優先順位となると説明した。首相によると、今年の雇用創出規模は1300万人と、先週の経済政策報告で示した目標の1100万人を上回る見込み。
先週発表された減税の規模は、提案されていた今年の計画の2兆元(約33兆円)を上回る可能性がある。これには、付加価値税の最高税率の3ポイント引き下げなどが含まれていた。また、当局は昨年以来何回か銀行の預金準備率を引き下げているが、この手段の活用が継続されることも首相は示唆した。
「銀行の預金準備率や金利などの価格ツールを利用できる。金融緩和の方向には進まないが、実体経済を効果的に支えている」としている。
このほか李首相は、付加価値税の引き下げは4月1日から実施し、社会保険料は5月1日から引き下げると確認。「主要経済指標が適切な範囲から外れることは阻止する」と表明した。また、政府は既に国営企業や銀行から移管させた利益で1兆元を集めたとした上で、「特定の金融機関や一部の国営企業に、彼らが国庫にもたらす利益を増やすように求める決意だ」と述べた。
米中関係を巡っては、ここ数カ月の中国の主張を踏襲し、両国の間には「幅広い共通の利益があり、双方にとって有利な」成果を追求すべきだと語った。通商交渉はまだ進行中であり、中国は「一連の協議から良い結果がもたらされることを希望している」と言明した。
一方、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)が中国政府のスパイ行為を手助けしているという米欧の批判に反論し、スパイ行為は「中国の法に一致せず、中国はそのような振る舞いはしない」と明言。「これまでもしていないし、将来もしない」と強調した。
原題:China Vows to Stick to Targeted Stimulus Amid Jobless Pressure(抜粋)