立憲民主党が統計不正に絡んで新しい提案を考えているようだ。NHKによると「厚生労働省の統計不正問題などを受けて、立憲民主党は各省庁の統計部門を一元化する『国家統計データ局』を新たに設置し、データを集中的に管理するなどとした提言をまとめ、今後、必要な法案の作成を検討することにしています」という。統計を経済の実態に近づけるためには様々な改革が必要になる。今回の統計不正は国の基盤に関わる。問題は大きく分けて2つある。一つは官僚の職務放棄ともいうべき忠実義務違反。2つ目は実態と乖離した統計をどのように修正、改革・改善するかという技術的問題だ。野党が批判する官邸主導の統計操作という発想は、仮にそういう要素があるとしてもあまりにも政治的すぎる。

政治が先行しすぎると党利党略だけになる。官僚の責任は追及できても実態との乖離は埋まらない。統計というのは誤解を恐れずに言えば、すべからく推計である。GDPには専業主婦の家事労働は含まれていない。これをGDPに加えるとどのくらい数値が変わるのか、それすらわからない。個人消費にネット取引は含まれていない。これも問題だ。国際社会との整合性も必要になる。経済社会が日進月歩で変化するのに合わせて統計も改善・改革が必要になる。国家の運営という視点で見ても統計は基幹となるものだ。その大事な統計も仕事は地味で、かつ、高度な専門性が要求される。誰でも簡単にできるような仕事ではない。その仕事がいまは各省庁に分散され、官僚組織の片隅に追いやられている。大事な仕事なのに人手も補充されず冷遇されている。ここが大きな問題だ。

なんでも反対の立憲民主党がこの仕事の大改革案を立案中という。各省庁の統計部門を一元化した「国家統計データ局」を創設するという。いいじゃないか。反対の為の反対から一歩踏み出そうとの姿勢が見える。政治はこうでなくてはならない。野党にも具体的な提案が求められる時代だ。詳細はわからないが、NHKによると立憲民主党は、「統計を作成するための予算や人員の配分が不十分で、専門家を育成するため人事制度を見直すなど、体制を強化すべきだとしています」という。その通り。抜本的な改革というのはこうでなければダメだ。問題はこれが実現できるか否か。自民党は反対するだろう。これも反対の為の反対だ。政治は妥協だ。現実的に折り合いことを期待したいが無理だろう。立憲も理想論で突っ張るのだろう。