[ロンドン 19日 ロイター] – 英下院議長が議会で否決された欧州連合(EU)離脱協定案の再採決はできないとの見解を示し、同案の再採決の実現が難しくなったことを受け、メイ首相はEUに対し29日に迫っている離脱期日を少なくとも3カ月延期するよう要請する公算が高まった。
バーコウ下院議長は18日、議会で否決された離脱案と同じ案を再び採決することはできないとの見解を表明。これを受けメイ首相が目指していた離脱協定案の再採決の実現が難しくなっており、21─22日のEU首脳会議で英国の離脱延期を巡る最終決定が見送られる可能性が高くなっている。
賛成52%、反対48%で離脱方針が決まった2016年の国民投票から約3年。離脱期日が10日後に迫り、先行き不透明感が一段と高まる中、メイ首相がトゥスクEU大統領に対し、離脱期日の延期を要請する書簡を19日か20日に送付することが首相報道官の話で明らかになった。報道官はどの程度の期間の延期を要請するのかについては明らかにしなかったが、できるだけ短期間にとどめるとしている。
一方、英BBC放送の政治担当エディター、ローラ・クエンスバーグ氏はこの日の閣議を受け、「メイ首相はEUに対し離脱期限の延期を要請する書簡をきょう送付する。離脱期日の6月30日までの延期を要請し、離脱を最大2年先送りする可能性についても要請する」とツイッターに投稿した。
EU首脳会議が21─22日に迫る中、加盟国は離脱期限の2─3カ月の延期、もしくはより長期的な延期の2つの選択肢を検討。
英離脱を巡るEUのバルニエ首席交渉官は、メイ首相の離脱協提案が議会で批准される確率が高まる場合のみ、延期は理にかなうとの見解を表明。長期にわたる延期はEUにとって経済的、政治的な重しとなるとの見方を示したほか、メイ首相は短期的な延期と長期的な延期の双方を同時に要請することはできないとの立場も示した。
ドイツのメルケル首相は、残された時間は残り少なくなっているとしながらも、英国がEUと条件などで合意した上で離脱できるよう、29日の期日まで努力を続けていく姿勢を表明。このほかこの日は、仏大統領府の当局者がいかなる離脱延期の要請も明確で堅固な理由が必要との考えを示した。
EU加盟各国は英国の対応が二転三転することに疲労感を覚えながらも、期日の29日に条件などで合意しないまま英国を離脱に追いやることはしないとみられている。