がん患者から取り出した免疫細胞を人工的に強化してがん細胞を攻撃する最新のがんの免疫療法「CAR-T細胞療法」が、一部の白血病などの治療法として国に初めて承認されました。
国に承認されたのは、新しいがん免疫療法である「CAR-T細胞療法」の「キムリア」という治療法で、大手製薬会社ノバルティスファーマが申請していました。
この治療法は、がん患者の体内からT細胞と呼ばれる免疫細胞を取り出し、攻撃する力を高める遺伝子を組み込んで体内に戻すことでがん細胞を攻撃します。対象は、標準的な治療法の効果が期待できなくなった白血病などの一部の患者で、国内では年間最大で250人ほどになると見込まれています。
承認にあたっては、副作用に対応できる態勢がある医療機関で行うなどの条件が付けられています。「キムリア」を使った「CAR-T細胞療法」はアメリカやヨーロッパなどではすでに承認されていて、これまでの臨床試験では高い効果が報告されているということです。
一方で、患者1人の治療費はアメリカではおよそ5000万円と高額になっていて、今後、日本でほかのがんに適応が広がるなどした場合には国の医療保険制度に影響を与えかねないと懸念されています。
厚生労働省は、早ければ5月にも価格を決め、公的な医療保険を使った治療が行えるようになる見込みです。