[ワシントン 27日 ロイター] – 米商務省が27日発表した1月の貿易赤字は前月比(訂正)14.6%減の511億4900万ドルと、2018年3月以来10カ月ぶりの大幅な減少となった。市場予想の570億ドルより少なかった。中国への大豆輸出が増え、輸出が4カ月ぶりにプラスとなった。 

原油の国内生産が増えたほか、原油安によって輸入額が減ったことも赤字縮小要因だった。 

18年12月の赤字は当初発表の597億6900万ドルから599億ドルへ改定された。 

最近は小売売上高や製造業、住宅建設などの統計が弱含み、エコノミストらは米経済が第1・四半期に大幅に減速したとの見方を示しているが、貿易赤字が縮小したことは幾分明るい材料だ。 

BMOキャピタル・マーケッツ(トロント)のシニアエコノミスト、ジェニファー・リー氏は「少なくとも、米貿易赤字(の縮小)は他のあらゆるネガティブな指標からのショックを一部和らげる」と述べた。 

それでも、トランプ米大統領が掲げる「米国第一主義」政策にもかかわらず、貿易赤字は高止まりしている。トランプ氏の政策によって米国は中国との貿易摩擦から抜け出せないほか、他の貿易相手国も米製品に報復関税を課している。 

米中が8カ月続いている貿易摩擦の解決策を見出すため、米国は2000億ドル規模の中国製品に対する関税引き上げを遅らせている。米中貿易摩擦がピークだったころに米国からの大豆に高関税を課した中国も、大量購入を再開するとした。 

政治的に問題になることが多い対中貿易赤字は1月に6.4%減の344億6900万ドルだった。 

実質の貿易赤字を示すインフレ調整後のモノの貿易赤字は1月に78億3900万ドル減の838億1600万ドルだった。第1・四半期国内総生産(GDP)のエコノミスト予想は現在、非常に低いが、実質の貿易赤字が減ったことで予想が上方改定される可能性がある。 

1月の輸出は0.9%増の2073億4000万ドルだった。大豆は9億1000万ドル増えた。自動車・同部品は12億1800万ドル増加した。一方、資本財は7億7800万ドル減。民間航空機が12億7700万ドル減少し、全体を押し下げた。 

輸入は2.6%減の2584億8900万ドルと、18年6月以来の低水準だった。輸入はこれまで急増していた。企業が中国製品へのさらなる関税を見込んで在庫を積み上げたためとみられる。 

1月は資本財が29億6200万ドル減少した。特に、コンピューターの周辺機器が9億4600万ドル減少し、落ち込みが大きかった。半導体や民間航空機も減少した。 

原油は13億5900万ドル減少。輸入量の減少と原油安を反映した。1月は原油価格が平均1バレル=42.59ドルと、16年12月以来の低水準だった。