• 8つの案が投票に、合意なき離脱や再国民投票、緊密な関係維持など
  • 議員は自分が支持する全ての選択肢に賛成票を投じることができる

英国の欧州連合(EU)からの離脱プロセスを巡り、英下院は27日の議会採決で主導権を握る。英国時間同日午後7時(日本時間28日午前4時)から欧州連合(EU)と緊密な関係を維持する案や国民投票を再び行う案など8つの選択肢について、各議員が支持または不支持を表明する。

  下院で過半数の支持を得る可能性のある解決策を探るため、議員は自分が支持する全ての選択肢に賛成票を投じることができる。投票結果は政府を拘束するものではないが、政府を動かそうとする次の動きにつながることも予想される。

  EUとの関係はどうあるべきかという結果に関するものと、その結果に至る手段・プロセスに関する動議の2種類がある。バーコウ下院議長はメイ首相案に代わるものとして提出された16本の中から、議会採決に進む8つを決定した。

「合意なき離脱」案

  EUから提示された期限の4月12日をもって、一切の協定や合意なくEUを離脱する。提案したのは保守党のジョン・バロン議員。

「関税同盟」案

  保守党の重鎮、ケン・クラーク議員が支持している案。少なくとも恒久的な関税同盟をEUと締結した上で離脱する。

最大野党・労働党の「関税同盟」案

  メイ首相がEUとの関税同盟、単一市場との緊密な連携、他の欧州機関との密接な関係を目指すことを条件に首相がEUと取り決めた離脱協定案を支持する内容で、労働党の公式な立場を反映する。

「再国民投票」案

  国民投票で賛意が得られるまでは、英議会は離脱協定案の承認も施行もすべきでないというプロセスに関する動議で、労働党のマーガレット・ベケット議員が提案した。

「ノルウェー」案

  欧州経済地域(EEA)にとどまる一方、欧州自由貿易連合(EFTA)への再加盟を求める。ノルウェーと同様にEUの単一市場へのアクセスが可能になる。保守党のジョージ・ユースティス議員の提案。

「ノルウェー・プラス」案

  ノルウェー案に「包括的な関税取り決め」を加えたもので、保守党と労働党の超党派議員らが「共同市場2.0」として提案。

「合意なき離脱への緊急ブレーキ」案

  「合意なき離脱」まで2日以内となった段階で、「確認投票」を議会に義務付ける提案をスコットランド民族党(SNP)のジョアナ・チェリー議員が行った。

「モルトハウス妥協」案

  離脱後のアイルランド国境へのハードボーダー(物理的壁)設置回避を保証する「バックストップ(安全策)」の必要性をテクノロジーを用いてなくす案で、一時はEUとの行き詰まりの打開策になるかと思われた。

原題:These Are the Brexit Options That British MPs Are Suggesting(抜粋)