日産自動車のゴーン前会長がオマーンの販売代理店に日産の資金を不正に支出させたとして再逮捕された事件で、前会長側が10年前にこの代理店のオーナーからおよそ30億円を借り入れていたことが関係者への取材でわかりました。この代理店にはその後、日産から38億円余りが支出されていて、東京地検特捜部が不透明な資金の流れの実態解明を進めています。
日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(65)はオマーンの販売代理店に日産から支出させた資金の一部を私的に流用し、合わせて5億6000万円余りの損害を与えたとして、4日、特別背任の疑いで東京地検特捜部に再逮捕されました。
関係者によりますと、ゴーン前会長側は10年前の平成21年1月、この代理店のオーナーからおよそ30億円を借り入れ、特捜部が前会長のものとみられる署名が入った借用書を入手していることがわかりました。
当時、ゴーン前会長は私的な為替取引の損失をめぐって銀行側から巨額の追加担保を求められていて、借り入れの翌月、およそ22億円の定期預金を担保として差し入れていたということです。
この代理店にはその後、平成24年から去年にかけて、日産から合わせて38億円余りが支出されていて、特捜部は不透明な資金の流れの実態解明を進めています。
関係者によりますと、ゴーン前会長は容疑を全面的に否認しているということで、弁護士は前会長に逃亡や証拠隠滅のおそれはなく逮捕は不当だとして、勾留が認められば裁判所に準抗告する方針です。