3月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を上回った。2月の雇用者数も速報値から上方修正された。鈍化している米景気への懸念がやや和らぐ可能性がある。一方で、平均時給の伸び率は低下。失業率は49年ぶりの低水準近辺を維持している。労働省が5日発表した。
キーポイント |
・非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比19万6000人増ブルームバーグがまとめた市場予想中央値は17万7000人増 ・2月は3万3000人増に上方修正された(速報値2万人増) ・家計調査に基づく失業率は3.8%-前月と変わらず ・平均時給は前年同月比で3.2%増-前月3.4%増 ・エコノミスト予想の全てを下回った(予想中央値3.4%増) |
非農業部門雇用者数と失業率米労働省
インサイト
- 3月の雇用統計は、雇用の伸びこそ昨年のペースからは減速しているものの、労働市場は向こう数カ月の経済成長を支えるのに十分な堅調さを維持していることを示唆
- 失業率が歴史的な低水準にとどまっていることは、今後の消費支出に楽観的な見通しを与える
- 一方、平均時給の伸び鈍化はインフレがこの先、一段と抑制される可能性を示す
ストラテジストの見方
ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者スバドラ・ラジャッパ氏:
- 「米金融当局にとって完璧な内容だ。賃金上昇圧力はないという当局の主張を実際に裏付けた」とブルームバーグテレビジョンで指摘。「賃金インフレのリスクは非常に小さい」
詳細
- 3月に雇用者数の伸びが目立った業界は、教育・ヘルスサービスやプロフェッショナル・ビジネスサービス。建設業は1万6000人増と、前月のマイナスから回復。製造業は6000人減と、17年半ば以降初の減少となった
- 労働参加率は63%に低下(前月63.2%)。労働参加率は、年齢の高い労働者の退職を背景に低下傾向にあったが、雇用主による人員採用意欲の高まりでここ数カ月は上昇していた
- 平均時給は前月比では0.1%増と、前年同月比と同様に市場予想(0.3%増)に届かず。2月は0.4%増だった
- 平均時給の伸び鈍化は、週平均労働時間が34.5時間に増えたことが一因である可能性(前月は34.4時間)。労働時間が延びると、平均時給は減る傾向にある
- 「U6」と呼ばれる不完全雇用率は7.3%と、前月と同水準
- U6にはフルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者や、仕事に就きたいとは考えているものの積極的に職探しをしていない人が含まれる
- 民間部門の雇用者数は18万2000人増。2月は2万8000人増(速報値2万5000人増)に上方修正された。政府部門は1万4000人増
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:U.S. Payrolls Top Estimates With 196,000 Rise as Wages Cool (1)(抜粋)