[ブリュッセル 9日 ロイター] – 欧州連合(EU)が一定の条件下で英国の離脱期限を再延期することで合意する方針であることが、ロイターが入手したEU首脳声明の草案で明らかになった。
条件には欧州議会選挙への参加などが含まれているが、こうした条件が順守されなかった場合、英国は6月1日付で離脱する公算が大きい。ただこの日の夕方にブリュッセルで各国代表が討議を行うため、現時点では草案にはいつまで延期するのか具体的には記されていない。
声明草案は、「離脱協定案の批准を可能にするために」離脱延期に合意するとしている。ただ英国とEUの双方が合意に至れば、延期期間終了前の離脱も可能としている。
さらに、「(欧州議会選挙が行われる)5月23─26日時点で英国がまだEUに加盟しており、5月22日までに離脱協定案が批准されていない場合は、英国は欧州議会選挙に参加する必要がある」と表明。「こうした条件が守られない場合、英国は6月1日付で離脱する」とした。
草案はこのほか「離脱協定案の再協議は行わない」と明言。ただ政治宣言を改訂する用意はあるとした。
EUは10日に英離脱を討議するための首脳会議を開くが、トゥスクEU大統領はこの日、EU首脳に宛てた書簡で、離脱協定案を英国が批准することを条件に離脱期限の最長1年延期を提案した。
ただ一部EU外交官は、トゥスク氏が提案する1年間の延期が受け入れられる公算は小さいと指摘。1年の延期は長過ぎるとの見解を示しているフランスに数カ国が同調しているとし、延期は6月末まで、長くて年末までとなる可能性があることを明らかにした。ただ、最終的には27カ国の首脳が10日の会議で決定するとしている。
EUは、可能な限り早い決着を望む一派と、英国の政治危機解決には長期延期の提示以外はないと考える一派に分裂。10日の首脳会議での決定は全会一致の必要がある。