• 長期リファイナンスオペの条件は今後の会合で決定
  • マイナス金利の副作用を和らげる必要があるかどうかを検討する
A Eurosystem monetary authority sign stands outside the European Central Bank (ECB) headquarters in Frankfurt, Germany, on Wednesday, April 10, 2019.
A Eurosystem monetary authority sign stands outside the European Central Bank (ECB) headquarters in Frankfurt, Germany, on Wednesday, April 10, 2019. Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は10日、景気減速への対応強化が必要になった場合、市中銀行への長期資金供給プログラムマイナス金利政策の調整が、最初の防衛策になることを示唆した。

  総裁はユーロ圏経済が今年さらに減速したと認めた上で、弱さは「年内は続くだろう」と述べ、下期回復への期待が薄れたことをうかがわせた。

European Central Bank President Mario Draghi Announces Rates Decision
記者会見するドラギ総裁(4月10日)Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

  第3弾となる長期リファイナンスオペ(LTRO)について、ECBは9月に開始することを5週間前の前回会合で発表しているが、条件はまだ決定していない。総裁はまた、マイナス金利が銀行の収益性を損ない企業や個人への融資を抑制するに至っているかを判断するため、その副作用について分析するとも述べた。

  総裁は必要に応じてあらゆる政策手段を駆使する用意があると述べたものの、政策委員会は追加利下げについては協議せず、中銀預金金利をマイナス0.4%で維持した。債券購入再開についての言及もなかった。

  ドラギ総裁は銀行への貸し付け基準やマイナス金利について決定するのは「時期尚早だ」とし、「今後の会合」で決定すると述べた。最新の経済予測が明らかになる6月会合が有力と示唆された。

  ドラギ総裁の声明によれば、政策委員会による景気判断は暗いものだった。トランプ米大統領の政策が貿易に及ぼす脅威や、イタリアの財政問題、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感などリスクが山積している。

  「この日の会合では見通しについて検証した。見通しは軟化しており、成長減速が見込まれる。政策委員会はあらゆる政策手段を適切に調整する用意がある」と総裁は述べた。

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原題:Draghi Signals Bank-Loan Tool Is ECB’s First Defense to Slowdown