15日、パリで、激しく燃えるノートルダム大聖堂の屋根部分(EPA時事)

 【パリ時事】フランスのパリ中心部にある観光名所、ノートルダム大聖堂で15日夕(日本時間16日未明)、大規模な火災が発生した。火は大きな炎を上げて瞬く間に広がり、屋根や尖塔(せんとう)が焼け落ちた。現段階で、けが人はいないもようだ。
 仏メディアによると、検察当局が出火原因の捜査を始めた。現場で行われていた修復工事が原因となった可能性がある。

15日、パリで、火災により崩れ落ちるノートルダム大聖堂の尖塔(せんとう)(EPA時事)

 周辺は広範囲にわたって規制線が張られ、観光客らが避難。消防隊員約400人が出動して消火活動に当たった。ヌニェス内務副大臣は現場で記者団の取材に応じ、「火災はコントロールできていない。大聖堂を守れるかはまだ分からない」と話した。
 マクロン大統領はこの日予定していたテレビ演説を中止し、現場に急行。ツイッターで、「私のすべての同胞と同様、今晩私たちの一部が焼かれているのを見て悲しい」と述べ、国民やカトリック教徒との連帯を示した。

15日、パリで、火災が起きたノートルダム大聖堂付近に到着したマクロン仏大統領(中央)、フィリップ首相(左)、リーステール文化相(左から2番目)(EPA時事)

 大聖堂は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録されている。ユネスコのアズレ事務局長はツイッターで「劇的な火災に計り知れない衝撃を受けている。ユネスコは貴重な遺産を保護し、復元するためにフランスを支援する準備がある」と述べた。
 政府関係者はテレビ局フランス・アンフォに対し、「修復には何年もかかるだろう」と語った。