欧州中央銀行(ECB)の当局者らはマイナス金利政策の見直しに消極的で、政策分析が完了した時点で実際に実行されることに一部当局者は懐疑的だと、事情に詳しい関係者が述べた。

  部外秘の議論だとして関係者が匿名を条件に述べたところによると、当局者らはマイナス金利の影響を検証するドラギ総裁の動きに反対ではないが、銀行の超過準備の一部にマイナス金利適用を免除するいわゆる階層化に利点があると考えない当局者が多い。

  現状維持の動機には、既存のツールの効果を弱めたくない考えのほか、将来の利下げのシグナルと捉えられかねない懸念やECBが銀行の収益性について責任を負わされるという懸念などがあると、関係者らが述べた。

  結論の出なかった先週の会合の後、マイナス金利政策に変更を加えることへの反対が強まったほか、無気力も広がり、当局者者らは見直しの可能性検討へのドラギ総裁の突然の呼び掛けへの対応として問題を分析することのみを約束している。 ECBの中銀預金金利は現在マイナス0.4パーセントで、5年近くにわたってマイナス圏にある。

  ドラギ総裁はマイナス金利に関する先月の発言の前に政策委員会と相談していなかった。総裁は階層化という言葉は使わなかったものの、同発言は日本とスイス、デンマークで使われている同システムをECBが採用するのではないかとの観測を招いた。

  関係者によれば、ドラギ総裁がマイナス金利政策の見直しを呼び掛けたのはECBにまだ多様な政策手段があることを示すものだ。階層化の議論は、必要ならば一段の利下げの準備を整えるものとの見方も浮上したが、当局者らは利下げについて議論はしていないと関係者が述べている。

  ECBは階層化について分析した後、それが将来の選択肢であることを示唆し、必要な場合の追加利下げを容易にする可能性もあると関係者の2人が述べた。

  ECB報道官は政策委員会の議論についてコメントを控えた。

原題:ECB Officials Are Said to Lack Enthusiasm for Sub-Zero Tiering(抜粋)